聞くことの大切さ
弁護士と言うと,立て板に水を流すが如く弁舌をふるう人というイメージがあるようです。でも,私は,弁護士にとって,「聞く」ということが非常に大切だと思います。たとえば,法律相談。わずか30分~1時間という短い時間で,その方から話を聞き,整理し,アドバイスをします。私はほとんどの時間を聞き取りに費やし,アドバイスの時間は非常に短いです。これは,きちんと聞かないと,間違ったアドバイスをしてしまうため,そして聞くこと自体が安心感を与えるためです。
こんなことがありました。ある年配の男性が相談に来られました。機関銃のように話されます。私はただただ聞いて,頷き,相づちを打つだけ。そして,1時間くらい経ったでしょうか。その方は我に返り,「あ!もう時間ですね…。いや,今日はとてもよいアドバイスをしていただき,ありがとうございました!」とおっしゃるのです。私は特にアドバイスをしたわけではないのですが,とても満足しておられる様子でした。もちろん,法律家ですから,法律的なアドバイスをしっかりしなければならないのですが,その方は,法律のよく分かっている人に話をしたかった,そして聞いてもらいたかったのかもしれません。
人に話をする,人に話を聞いてもらうということは,それだけで頭の中が整理されます。話しているうちに解決してしまうということもあります。それだけ,聞くということが大事なのだと思います。
弁護士 小倉悠治
もっと気軽に弁護士に相談したい
先日,ある会社の社長から,もっと気軽に弁護士に相談できたらいいと思うが,何とかならないのか?と問い合わせがありました。
新しい事業を始めるにあたって,法律的に問題がないかを確認したい。
従業員との間で退職について話をしているが,問題がないかを確認したい。
取引先から要求されたことに応じなければならないのか,聞いてみたい。
事業を経営していると,いろいろな悩みが出てきます。こんな悩みに応えることができるのが,弁護士の顧問契約です。顧問契約を締結すれば,電話での相談,メールでの相談ができます。また,顧問契約の内容にもよりますが,経営会議等に参加するということも考えられます。ビジネスはスピードが勝負ですから,より迅速に,気軽に聞ける環境が大事だと思います。電話,メール,LINE,チャットワーク等,あらゆる手段で迅速に弁護士に聞くことのできる環境を整えれば,より機動的な経営ができるのではないでしょうか。
契約書のタイトル
石川県金沢市で弁護士をしている小倉悠治です。
今日は,契約書のタイトルについて,お伝えいたします。
時々,契約書を作成する際,タイトルをどのようにすればよいですか?という質問を受けます。
契約書のタイトルは,そのタイトルを見れば,どんな契約なのかが端的にわかるものが良いです。たとえば,物件の賃貸借ならば賃貸借契約書,秘密保持に関する契約書であれば,秘密保持契約書などです。
ただ,契約書のタイトルについて明確なルールがあるわけではありません。ですから,あまり神経質になる必要はありません。
一方,契約についてトラブルとなってしまった場合,契約書のタイトルが法律的に重要な意味を持つことは,それほど多くありません。あくまでも,重要なのは契約の内容です。
よくある勘違いは,「契約書」だと重すぎるから,「覚書」にしておこう,覚書ならそれほど拘束力は強くないだろう,という誤解です。「契約書」であろうと,「覚書」であろうと,書かれている内容が重要ですので,タイトルによって拘束力が変わることはありませんし,タイトルのみによって契約の意味内容が変わってくるということもありません。
架空請求に気をつけましょう
金沢で弁護士をしている小倉悠治です。
今回は,架空請求のお話し。
よく,携帯電話に「●●円支払わないと,訴える」とか,「口座を差し押さえる」などのメールが届くことがあります。身に覚えのないものばかりですし,一切気にする必要のないものがほとんどです。
しかし,気をつけなければならないものがあります。それは,裁判所からの通知です。
裁判でこわいのが,いわゆる「欠席判決」です。
裁判に欠席して,答弁書を出さないでいると,相手の請求を認めたとみなされてしまうのです。
つまり,詐欺業者が架空の権利について裁判を起こし,それを放置してしまった場合,架空の権利が本物の権利になってしまうのです。
ですから,裁判所から通知が届いた場合は,必ず弁護士に相談することをお勧めします。
裁判所の書類を装った通知などもありますが,裁判所の場合,「特別送達」というもので来ますので,区別できます。
最近は無料法律相談を行っている事務所も多いですし,各自治体でも無料の法律相談が行われていますので,ぜひ利用してもらえればと思います。
弁護士の役割
弁護士の小倉悠治です。
今日は,弁護士の役割について書きたいと思います。
今まで,弁護士というと,トラブルの解決といったイメージがあると思います。これは間違いではありませんし,実際に業務のほとんどはトラブルの解決です。
しかし,弁護士にとって重要な仕事はまだあると思います。
一つは,トラブルの予防。予防法務と言ったりします。トラブルになる前に,事前にアドバイスをして,トラブルを避けるわけです。よく,企業は顧問弁護士を持っていて,契約書を締結する際や新規事業をはじめる際にあらかじめ相談をしています。そこで,避けられるリスクに対処しているわけです。
もう一つは,企業価値の向上です。これについては,また別の機会にお伝えしたいと思います。