弁護士小倉悠治の日記

石川県金沢市で弁護士をしている小倉悠治のブログです

契約書の最後の方に書かれる裁判管轄って?

弁護士の小倉悠治です。

契約書の最後の方に,「裁判管轄」という条項があることが多いです。これについて,お話ししたいと思います。

通常,裁判を起こす場合,どこの裁判所にでも起こせるというわけではありません。基本的には,相手方の住所地を管轄する裁判所に提起することになります。ただ,民事訴訟法にはいろいろな例外規定がありますので,個別の事案では,複数の中から選ぶことが出来る場合もあります。

また,合意によって,提起する管轄裁判所を定めることもできます。そして,この合意は書面でしなければなりません(民事訴訟法11条)。ですから,契約に自社に近い裁判所を定めておけば,紛争になっても近くの裁判所で裁判をすることもできます。これが,契約書でよく見る裁判管轄の条項なのです。

ただ,この合意の方法には,専属的合意(特定の裁判所のみに管轄を生じさせる)と付加的合意(他の裁判所も加えて管轄を生じさせる)とがあります。契約の中には,どちらの趣旨なのかが明確ではない場合がありますので,もし,特定の裁判所のみにしたいという場合には,「専属的」という言葉を明記しなければなりません。