弁護士小倉悠治の日記

石川県金沢市で弁護士をしている小倉悠治のブログです

トラブルをプラスに転ずる

何かトラブルが起きたとき,依頼に来られる方は,とにかく目の前のことを解決して欲しいとおっしゃいます。

目の前のことに集中しているわけですから,当然です。

しかし,トラブルが起きるということは,実はチャンスなのです。どういうことかというと,トラブルが起きたということは,会社のどこかに問題があって,それが表面化した,氷山の一角である場合が多いのです。

まずは応急処置をしなければなりませんが,応急処置が一段落したら,どこに問題があったのかを経営者と弁護士が一緒になって考えることが重要です。日々忙しい状態ですと,おろそかになってしまうことがたくさんあります。けれど,トラブルというのは,それに気づかせてくれるサインであることが多いのです。

ですから,トラブルが起きた時,このトラブルをプラスに転ずるにはどうすればよいか,という視点を持っていただければと思います。

弁護士の使い方

私はトラブルなんてないから,弁護士は必要ないよ。

こんな声をよく聞きます。

この方は,「弁護士はトラブルにあってから頼むもの」と思っておられるのだと思います。

ある意味では正しいのですが,これは少し危険な考え方です。

平常時であれば,未然にトラブルを防ぐ対処をすることもできますし,選択肢もたくさんあります。ですが,トラブル時には選択肢は限定されて,しかも高い弁護士費用が発生してしまいます。何より,トラブルの渦中にあることで精神的に大きなストレスがかかります。

リーズナブルで,なおかつ精神的な平穏を保ち,未来志向で経営をしていくためには,平常時こそ弁護士に相談すべきだと思います。顧問契約というサービスもありますし,トラブルを事前に防ぐという意味での弁護士の使い方が一番賢いのではないかと思います。

目標を明確に

起業をされる方は誰でも,最初は明確な目標を持っていると思います。

こんな事業をやりたい,という熱い思いです。

目標が明確であればあるほど,達成可能性は高まりますし,そこにいたる具体的な計画が行動レベルにまで落とし込まれたものであればなおさらです。その意味で,目標を明確に定めることは非常に重要です。

ですが,経営にトラブルはつきものです。中には,弁護士にトラブル解決を依頼せねばならない状態に陥ってしまうこともあります。このような場合,当初描いていた目標を見失ってしまいます。しかし,それでは目標が達成できないばかりか,失速してしまいかねません。ですので,日頃からトラブルに対する備えは重要で,そのために弁護士を使うのが一番コストパフォーマンスのよい使い方だと思います。

 

思っていることと,あったこと

依頼者から相談を受けるとき,気をつけていることがあります。

それは,目の前の人が語っている内容が,「事実」なのか,「思い」なのかです。

相談に来られる方は,自分が思っていることを,「○○なのです」とまるで事実のようにおっしゃることがあります。しかし,そのように思われる理由は何かと問うと,根拠がなく,思い込みであったということもあります。

単に思っているだけか,根拠に基づいて推測していることなのか,事実なのか,よく聞き分けないと,誤解をしてしまうことがあります。事実を正確に聴き取って,相談される方が安心されるようなアドバイスをしたいですね。

マイナス発言をしていませんか?

普段,何気なく使っている言葉。

その人が使っている言葉のうち,プラスの言葉とマイナスの言葉のどちらかが多いかを観察していると,その人の心の中が垣間見えます。

トラブルにあって悩んでいる人は,どうしてもマイナスの言葉が多くなってしまいがちです。そして,気分は落ちる一方・・・。そんなとき,私はトラブル自体の解決することに努力するだけでなく,悩みを聞いたり,励ましたり,その人の心が少しでも安らかになるように心掛けています。その一つが,辛いときこそ,プラスの言葉を使うように心掛けるということです。必ずこの困難を乗り越えてみせる,と。

言葉には力があると言われますが,プラスの言葉を使えば元気が出るのに対し,マイナスの言葉を使うと,どんどん気分が落ち込みます。結果的に,負のスパイラルにはまりかねません。

自分の言葉がプラスかマイナスかに注目し,プラスの言葉を多く使うように心掛けたいですね。

誰が言うかと何を言うかの重要性

よく,経営者の方の相談で,「従業員が自分の言うことを聞いてくれない。どうやって伝えたらよいのか」というものがあります。

この方の問題意識は,自分の言い方が悪いから,伝わっていないと思っておられるのだと思います。もちろん,どのような言葉で伝えるのかということは重要です。しかし,一つ考える必要があるのは,たとえ同じ言葉であっても,誰が言ったかによって,受け取り方が変わってくるということです。

好きな人から言われれば,とても素直に聞けますが,嫌いな人から,本当のことを言われると,腹が立つということは,誰しも経験があると思います。

ここで大事なことは,これから何かを伝えようとする人との信頼関係がどの程度できているか,ということです。信頼関係がない状態で叱ったりすれば,逆効果にもなりかねません。

常に,相手との信頼関係を考え,より信頼関係をアップさせる努力をしたいものです。

慶応義塾でゲストスピーカーとして講義

昨日,母校である慶応義塾大学大学院法務研究科でゲストスピーカーとして講義して参りました。

同期の弁護士が担当している授業です。

障がいのある人の弁護という切り口で,福祉の専門家ではない弁護士がどういう点に気をつけて弁護すればよいのか,経験を交えて講義して参りました。

学生達は純粋でまじめで,終了後もたくさんの質問をいただきました。

この講義で私が伝えたかったのは,「チームの大切さ」です。弁護士は法律の専門家ではありますが,一人でできることは限られています。でも,他の専門家とチームを組むことで,その力は何倍にも何十倍にも何百倍にもなります。インターネットが発達した時代において,検索すればたくさんのことを知ることができますし,調べることもできます。しかし,インターネットの情報は時に間違ったものもあります。

一方,餅は餅屋で,専門家に聞けば,瞬時に適切な情報にたどり着くことができます。ですから,日頃からたくさんの友達に持ち,その人がどんなことが得意かをよく知っておくことが大事だと思っております。当然,友達から相談された時はしっかりと対応し,自分が困った時は遠慮なく相談する。双方がメリットのある関係を継続的に作っていくことで,自分の力はどんどん大きくなります。

私自身,友達に助けて貰ったことがたくさんあります。だからこそ,困った人がいたら,ここがお返しの時だ!と思って,自分のできる限りのことをさせていただきたいと思っています。